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ヤァ、ヤァ、ヤァ、シンギュラリティーかがやってくる !?⑥ チューリングの夢-その2。
2018-02-26 Mon 07:00
第2次世界大戦が終わり、チューリングは、マンチェスター大学のコンピュータ研究室に所属するようになっていた。

こここそ、世界初の電子計算機(*1)、現代コンピュータの祖とも言える『Manchester Mark I』の開発が進められていた場所だ。

チューリングは、主にソフトウェア(*2)の開発を行いながら、コンピュータの概念に関わる重要な論文を発表している。「計算する機械と知性(Computing Machinery and Intelligence)」である。

この中でチューリングは、コンピュータは、やがて知性と呼べる機能を獲得できるであろう可能性を示している。そしてその論文の中で、コンピュータが知能を獲得しているかどうかの判定のために『チューリングテスト』と呼ばれる゛試験゛を提唱している。

チューリングテストとは、次のようなものだ。

まずは2台のコンピュータを用意する、テストする人は、それぞれのコンピュータと会話するのだが、一台のコンピュータは人が回答し。一台は純粋にコンピュータが回答するのだ。

このテストを繰り返し、人の回答と、コンピュータの回答が判別できないなら、そのコンピュータは知性を持っていると判定できるだろう。というものだ。

では、この論文が発表されてから、70年近くたった今、チューリングテストをパスしたコンピュータは存在するのか?

チューリングが亡くなってちょうど60年目にあたる2014年、イギリスのバークシャーにあるレディング大学で、「Turing Test 2014」
が開催された。

全部で5台のコンピュータが出場。このうち1台が、合格したと大学が発表したのだ。

合格したのは、「Eugene」というコンピュータ。ウクライナに住む、13歳の、ユージーン・グーツマンという男の子という設定だった。

参加者は、ユージーン君とチャットで、テーマを定めない自由な会話を交わした。そのうち、33%の参加者が、コンピュータなのか、人間なのかわからないと答えたという。

しかし、この判定を疑問視する声も多い。例えば、レイ・カーツワイルは「コンピュータではなく単なるボット(*3)に過ぎない」とし、子供という設定やそもそも英語を母国語としていない人物設定などで、判定にバイアスを欠けていると実験結果を批判している。

確かに、コンピュータが知性を持ったと断ずるには、厳密さに欠ける実験にも思えるが・・・。

その判断はともかく、そもそもTuringテストをパスしたからといって、コンピュータが知性を持ったことにはならない。という、哲学の立場からの反論もある。

さて、話はますます深みにはまっていくような気がする。ぼくは果たして、この深い森の奥から帰ってこれるだろうか・・・不安、である。




*1;電子計算機=電気式計算機と電子計算機は違うもの。電気計算機とは、電気を動力として機械式の計算機を稼働させるもので、富士通の池田敏雄が最初に作った、リレー式計算機はまさにこれ。一方、電子計算機は、トランジスタなどの半導体を利用し、電子の流れそのものを利用して稼働させる方式、現代コンピュータは電子計算機の発展形である。

*2;ソフトウェア=コンピュータに対する命令であるプログラムのまとまりを指す。複雑な仕事をする機械には、膨大な取扱説明書が必要になるが、それと同じように、複雑な仕事をする機械には膨大な命令が必要になる。そのまとまりがソフトウェアである。

*3;ボット=語源としては、ロボットの略語。ある目的をもってコンピュータへの命令の塊を「タスク」というが、そのタスクやそれに伴う処理を自動的に、繰り返し行うための命令系のこと。悪意を持って使われることもある。何かのアプリケーションで、アカウントを取得しようてすると、たまに色覚テストのようなことをされるのは、入力しているのが人間であって、ボットではないことを証明するためである。

参考資料;wikipedia.Gigazine.
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追記

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